いもいもなにいも

おいものなんでもない日

春は名のみの

・給湯器ぶっ壊れて毎日水風呂〜ぬる風呂ガチャの開催を余儀なくされています。点検はすぐきてくれたんですが、何しろ製造年が20年以上前なので十中八九交換になるよ&温度設定を45度以上とかにして水量ジャバジャバにしたらお湯と呼べるギリギリのものは出るよ、手配とか時間かかると思うからなんとかそれでしのいでね、もしかしたらマジで水しか出なくなるかもしれないけど……とのこと。そろそろ引越そうとしていたのに……。

お湯が出なくなるだけでこんなに地味なストレスがかかるってすごいことだよな。火も水も使えるのに。災害とかのことを思えばなんて贅沢なことだとも思う。でも、2024年に平和な自宅で家賃もガス代も払っててぬるいお風呂にしか浸かれないのは不都合に感じておかしいことではないとも思う。毎晩うら寂しい気持ちで祈りながら蛇口を捻っています。月経クソ重体質なのでそれと水風呂チャレンジが重ならないように強めに祈っている、あの体調で水シャワー浴びて身体冷やしたらたぶん""おしまい""なので。熱めの湯船に浸かりたいよ〜〜。ファーストピアス装着中だから銭湯とかもちょっとね。何度もはリスクがね。シンプルに一人で電子書籍読みながら/歌いながら長風呂するのが好きなだけでもある。まあ真冬にこれよりはマシだ。

 

・コナン既刊104巻読破しました〜〜!!!いえ〜い!!文字ぎゅうぎゅう罪があったらコナンは毎話有罪レベルなので一般的な漫画より読むのに時間がかかったものの、読ませる力がすごいので読めちゃったわね。デカい本棚ふたつあっても全然入らないので104巻は数十冊ずつのタワーになって床に積まれています。整理は………(ほかにも入りきってない本がめちゃくちゃあるし)………今度!!!!すぐ引っ越すかもしれないし!!!

とにかくあとは劇場版過去作をいくつか履修して、aiko渾身のコナン主題歌を劇場音響で堪能させていただきます。オタク、推しが原動力すぎる。

 

・待ち遠しいなと思っているとぜんぜん咲かないのが桜の花というもの。咲いたなと思ったら一瞬なのにね。「今年は一緒に見る人も…」とか内心無意識にあんまりよくない感じの卑屈になっていた私をパッと誘ってくれた友人のおかげで、そうじゃんそんな特別視しないでそのとき咲いてる綺麗な花をたのしく愛でたらいいじゃんということを思い出せた。花が綺麗だと嬉しい。甘いものも一緒にあるとなおいいね。

 

・そろそろ一人旅のリハビリをするぞ〜!ということで再来週平日ど真ん中に有休入れました。なんか…どこもかしこも宿泊料金高くない??と思ったら春休みじゃんね。GWもすぐだし。ということで日帰り近場からはじめるぞ。

去年のGWに弾丸鈍行一泊一人旅をして以来、ひとりで遠出していなかったのを改めて確認してビビった。このわたしが????それだけ気持ちが上向きにならなかった、体調がぐちゃぐちゃだった、時間がなかった、ということでも確かにあるし、同時にその間、心配してくれる誰かたちが私の近くに来てくれたり、一緒に出かけてくれたということでもある。

少しだけ大丈夫になれたから、一人でどこにでも行ける身軽さを思い出してみたいと思う。まだぜんぜん瘡蓋にならない部分もある。やっと寝ついた数時間後に怒鳴りながら、または泣きながら起きて朝まで寝直せない日もたくさんある。だけど。どこか遠くの知らない場所で、一人で見る特別でもなんでもない景色が、あっさりと何かを癒すこともあると知っている。

あの日のあの、どこまでも高くて広いただの空。

同じ春はない

・3月……ふたけた!!!??2月はついにCOVID-19のやろうにやられて丸一週間寝込みました。ライブにはギリギリ間に合う日程で本当によかった。診断2日目に、朝薬を飲んで一瞬だけ微熱に下がった体温を信用してそのまま在宅でモリモリ仕事を始めたバカは私です。薬が切れたお昼頃突然何もできなくなってしまい、震える指で早退させてくださいのチャットを打ちました、こういうとき疑いなく優しい会社でほんとによかったね。そこから1時間くらいPC閉じた姿勢のまま動けなくてもうダメだと思った。回復してよかったね〜。今は元の単なる虚弱アラサーに戻りました。いやちょっとまだ肺が変かも。肺活量が元通りではないし、ライブで叫ぶ時に声がぜんぜん伸びなかった。喉と肺はもともとよわい(よわくない体の部位が骨くらいしかねえけど)から、鍛え直せばどうにかなるかなと趣味のヒトカラは再開しました。虚弱脳筋でよく29年8カ月生き延びたねえ。

 

・ふしぎだよね、ライトがまばゆく照らされて、大音量の音楽に満たされて、その中心で歌うたったひとつの光を見つめていただけなのに、それを思い出そうとすると、夜の暗い水族館で大きな水槽の中を泳ぐ魚の群れを座ってしずかに見つめたあの時と、心の同じところがきしむのだ。

 

・私的ライブレポ×3書きたいんだけどセトリプレイリスト聴きながらゆっくり浸る時間もねえ!ので、手帳にだけ書き殴ってある。絶対にそのうち書きます。彼女が歌い続ける限り私の未来に光を失うことはない。

 

aikoがコナン映画次回作の主題歌に決まったその朝にフォロワーさんにいろいろアドバイスをもらい、翌日に近場のレイトショーで予習用の総集編映画を観に行ってさっそく差し替えられた予告に身震いし(劇場音質の新曲をほぼ最速で聴くオタク)、さらにその数日後には漫画(既刊104冊)を大人買いしました。あれから約一か月、81巻まできました。ま……間に合う……!たぶん……!行動力と文字を読むはやさには自信があります、脳が終わっていないときなら。世代っちゃ世代なのに本気でミリしらだったので、全話新鮮に楽しんでいます。まずわたしはコナン君がなんで蘭ちゃんとかに正体を隠さねばならんのかとかさえ知らなかった。アンビリーバボーの前にやってたアニメをぼーっと見ていただけの幼児だったから。あと一カ月かあ!ああ楽しみ。

 

・あとええと、年末年始に仰々しく行われてからというものずーっと私の不安の種であった昇格試験も無事合格(?)した旨を通知され、それとは全く関係なく、ここ数ヶ月ずーっとそうしたいと思っていたところヒョイと予約がとれたので、はじめてのピアスをあけました。いえーい。これで30歳の誕生日の頃にはお好みのセカンドピアスを身につけられるってえ寸法よ。盛大にいこうぜ!アニバーサリーイヤーだぜ!はたちのころはこころもからだもすべて終わっていたのによくここまできたね。ていうか転職してから4年だって。こわい。

 

・開けてみるまで怖くて仕方なかったのに、いざ開けてみたらぜんぜん痛くなかったので、どうせ髪型で人からはほとんど見えないし、おばあちゃんになるまでにもっとバチバチに穴開けてもいいかもしれんな。「4番目のピアス」を失くす気持ちが真にわかるように。ピアス穴よりこないだ家の中で超ぶつけた脛の方がまだ痛いよ。まだ腫れてるし。

つい何年か前までは、ピアスは痛そうだから絶対開けない!!と思っていたのに。コンタクトも、ヘアカラーもそう。ある時点までは、確かに自分には永劫関係ないと思っていた。人間は特に理由なく変わる。

 

・そしてド不眠である。ド不眠なのである………。気持ちは元気なのにこの感じで友達とはしゃぐとぶっ倒れる(文字通り)リスクがいつも以上に高いため、いろいろ見せたり話したりしたいのに、人を誘って遊ぶのは自粛している。仕事も相変わらずだし、季節の変わり目だし、まあ、しょうがないね。

 

・ああ、もうすぐ桜が咲くような季節なのか。わたしのいちばん好きな花。誰と見ても、見なくても、春になれば一気に咲いて散る花。

土足厳禁

忙しくなかった時期なんて人生に数ヶ月もあったことないが忙しい。体調管理の綱渡りは何度か失敗している。

二週間くらい前久しぶりに、電車で静かにダメになるやつをやってしまった。なんとか自力で降りて助けを求められたからよかった。「お客様体調不良のため遅延」に巻き込まれても(お気の毒に……)が先に来るのは、自分がそうなる可能性がたぶん人より高いからだ。

昔、似たような感じでバランスを崩して、理由のない恐怖で電車からどうしても降りられなくなってしまい、途方に暮れていたら、「そのまま眼鏡選ぶの手伝いにきてよ」と理由をくれた人がいた。その人が待っているなら大丈夫な気がして、そこまで行くことができた。一体どうしたのかきかれて、うーんと苦笑いすることしかできない私にそれ以上何も訊かず、そのままその人の眼鏡を選びに連れて行ってくれた。いつのまにか、息がしやすくなっていた。

そんなことばかり思い出す。相手はきっと、ひとつも覚えてはいない。

 

年始の地震の際は、祖母の家にいた。苛烈なツンデレである父方の祖母は、ひさびさに顔を出す私にあれこれ物を出しては与え、そっけない口ぶりながらまともに暮らしているのか尋ね、一緒に行った父と一緒に、もはや私がこのあと誰かと共に暮らすことなど全く頭にないような様子で「どっかに家を買うのはどうだ」「いっそ海外は」などと、私がその話を別に深刻に受け止めたりしないのを知っていて好き勝手に話す。「2人とも、私が誰かと結婚する想定ゼロで話しておられませんか?」「え?予定あるの」「ございません」「まあアンタと連れ添うならそうね、顔は悪くなくて、背も低くなくて、お金はある方がいいわね、それともちろん頭がよくて、自分のことができて、ちょっとくらい冗談が言えて、嘘がなくて、うるさいこと言わない男じゃなくちゃダメね」「私って竹の節から生まれたりしたんか?」「あと体が強い男」「それはそうだ」祖父は彼女を残して23年前に亡くなっている。なーんだこの祖母、私がかわいいな?父は横で笑っている。アンタはもうちょい気まずそうにしろ。

気楽だった。彼女が私に持たせるためのあたらしいおかずをこさえてくれているときに、揺れが来た。最初に気づいたのは私だけだった。私は地震がとても苦手だ。すぐにテレビをつけて、あとから話題になっていた、鬼気迫る声を聞いた。祖母は金切り声だと嫌がっていたが、意図を説明すると納得していた。これ以上都内には何もなさそうだとわかり、いろいろな報道に混乱しながら帰宅した。怖かった。

まだ、怖いところにいる人もたくさんいる。でも、それを少しでも多く、少しでも早くどうにかしようとしている人がたくさんいるのを、私は知っている。それは少し私を安心させてくれる。その人がどうか無事でいてほしいと、そして私にはできないことを頑張ってほしいと祈っている。私は私にできることをやり、余計なことはせず、あとは自分のいるところでちゃんと生きる。

 

きのうは中華街で友人と遊んできた!この一週間特にひどい目にあっていたから、やっと癒しの時間を得た。母方の祖母、叔父、その他良かれと思った他人にとにかく続けて「いい人を探さないのか」突き上げられて(ただでさえこのクソ忙しいのに!)気が狂ったので、ロケーションをいいことに人生初のガチ占いを受けた。もちろんエンタメだ。私は私以外の人間が私の人生についてわかったようなことを言って親切完了みたいな顔しているのが反吐が出るほど嫌いなので(この物言いには悪意と恨みを含みます)、ここで言われたことは全部私が私の都合のいいように利用させてもらうためのものだ。

占いそのものは横で聞いてる友達とめちゃくちゃ当たってる〜!とはしゃげるところもあれば、イヤ…めっちゃ勝手なこと言いはるやん…とスンとするところもあった。ある意味、期待通りだった。ハマるほどでもなく、払った金額ぶんは気持ちよくなれた。そこでもらった、なんか占いの解説みたいなのを書かれた紙の、よりによって氏名欄に「男の見る目がない人」と書かれて赤線まで引かれたのが面白すぎて友人とずっと笑っていた。やかましすぎる。これだよこれ!まあでもこれでチッうるせ〜なと思った時投げる煙幕くらいにはなるな。都合が良い。

それをそのままおもしろエピの記録としてツイート(心はずっとTwitterにいるインターネット懐古厨)しておいたのだが、今日寝込んで起きたら野生の占いおじさんに引用で好き勝手「再鑑定」されていた。しかも6ツイートも。「(なんかよくわからん用語。紙に書かれた星の配置?)から生年月日も割れたのでウンタラ」とまで書かれている。

きもちわるい!!!!!!!!!!!!!!!

ドン引きして爆笑しながらスクショを撮って元ツイートを削除して、隠れることも今はないからいっか〜と軽い気持ちで外していた、アカウントの鍵をかけなおした。あ〜気持ち悪かった。ゴキブリ出た時くらいイヤだった。

ひさびさにヤバいのにヤバい絡まれ方して懐かしさすら感じた。文字主体でまあまあ猫脱いでるここですら……!!?と絶望もした。歩いてないのに棒が当たりにくる。解説おじさんてどこにでもいるけど、わざわざちまちま検索して突撃してきてる……ってコト!?人生ゆたかそうですね。(悪意)

一番腹立ったのが「大変残酷なことを申し上げますが、生涯においてあなたが自ら動いてチャンスを掴むことはございません。」の一文。見て!!!この!!!文法的ポライトネスが一切意味をなしていない失礼のかたまり!!!!!!言語学的に非常にわかりやすい例をありがとう、あした体中の全ての筋を攣って無様に悶えてください。

私がこの手に今持っている全ては、他人からもたらされたきっかけの有無にかかわらず、全て私が自分で選んで追いかけて掴んで守っているものだ。そしてあなたがすすめるように、全て受け身でだけ生きていたとしたら、私はどの夢も叶えることなく、あなたのような宇宙人にこれまで何度も刺されたり襲われたり突き落とされたりしていただろう。つーか頼んでもいない赤の他人に「大変残酷なこと」を申し上げてひとりで気持ちよくなってんじゃねえよ♡あなたのお得意の占いは、あなたに必要な忠告は示さなかったようですね。インターネットをおやめなさい。

 

こういうことが現実でもまあまあある。こういうシンプルに迷惑なやつならまだ逃げたり駆除すればいいのでまだマシで、ただ一度笑いかけただけ、ただ普通に会話していただけ、ただ友達だっただけで、たやすく狂ってしまう人たちに、これまで何百回ヤバい距離の詰め方をされてきたことか。

これで初期フィールドを「恋愛前提」にしたら何が起こると思う?それでもあなたは私にそれを始めてほしいですか?次に見るのが私の遺影でも?

まあそれは極端だけど、その手前にいくらでも地獄というものはございますからね。人間は簡単に狂うから。(だから私は私に狂わないくらい私に興味のない人が好き!そして今度はこっちが報われない恋が発生する)(ままならないね〜)

私に善意で「出会い」をあてがおうとする人たちは、優しい世界に生きている。そのままでいいから、ほっておいてね。ていうか私が「とにかく出会いた〜い!」つったか?そうであったならまず心配をしてくれ。そんなはずねえから。何を見てきたんだ。なんも見てないのか。

 

親は私の上述のような、体質としかいいようのない引力がもたらしてきた数々のおそろしいあれこれをそれなりに知っているので、もはや何も言わない。「また変なのに付き纏われてるよりよっぽど安心」「したいならしたらいいけど、周りが言ってもしないでしょ」「結婚なんかして終わりじゃないんだしこっちは先に死ぬんだから」とのこと。私たちはこの10年でずいぶんとお互いのことがわかってきたらしい。

それでもなおこの私が心の底からそばにいたいと思った相手にはついぞ選ばれなかったが、そしてその悲しみはまだ薄れないが、その感情が自分にあると、あったと知っていることは私の空に灯る光になる。

今はとにかくそれでいい。

 

もう一個巨大なイヤなことがあって熱出して(熱出したからお流れにできた!やったね!)ぶっ倒れてたとこにもらい事故にあっても〜〜!!!!!!ってなったので書いて発散しました。パブロン飲んで寝よ〜。明日からも修羅場だ。私は私の修羅場を私が研いだ剣で切り拓く。弱音はいっぱい吐きながら。

幕間

決していい一年とは言えなかった。ろくでもない一日の繰り返しで、定められたとおりに今年も終わる。終わってくれる。ひとまとめに、過去のフォルダにぶちこめる。

 

・見るたびに雨が降っている庭があれば、鬱陶しいからさっさと屋根つけろよと思うかもしれない。じゃあなんで屋根がずっとつかないんだと思う?主にその発想がないから?それでいいのかわからないから?その庭の主は、本当にそんな理由で、雨を降らせるままにしていると思う?そうだとして、それをわがままだと思う?わがままを放置してはおけないか?庭の主はあなたではないのに?あなたの庭は晴れていて、あなたは通りがかっただけなのに?

あるいは、あなたもかつて雨の降りしきる庭の主だったのかもしれない。だから、手っ取り早い解決策を提示してやることがなによりもの優しさだと思っているかもしれない。確かにそれは優しさだろう。ただ、それを受け取るかどうか決めるのはあなたではない。

私に限っては、庭を整えてやろうと懸命に説得にこられるよりは、雨音を聴きながら一緒にお茶しようとしてくれるほうが、よほどいい。見ていられないというのなら、止むまではさようなら。

ここは私の庭だ。

 

・いい一年ではなかったが、何もかも失ったりはしていない。ただ一緒にいてくれた友人たちや、いきなり降ってきた昇格試験、10年前では考えられなかった家族旅行。今年を丸ごとなしにしていいとは、思わない。ここまで丁寧にすり潰してくれなくてもよかっただろと恨み言は言いたくなるが、私はここにいる。負けず嫌いで本当に良かった。好きなものがたくさんあってよかった。頽れた姿を絶対に見せたくない人がいて、よかった。

 

・(没交渉の年を除いて)毎年実家の年越しそばの写真を送ってくる人がいたなあと大晦日は思い出す。結局何枚になるんだろう、ガラケー時代とかからだしな。いちいち残してるわけでもないし(ひとんちの食事の写真だし)。

私にとって「実家の年越しそば」はただ好ましいと愛おしむものではなかったが、その写真を送ってくれる人の家庭は、毎年きっと私には想像もつかないほど穏やかに年が暮れるんだろうなと思ったし、それをただ送ってくるその行為が、ちょっとお供えみたいで面白かった。そんなつもりはなくっても、お裾分けのようで嬉しかった。見せてくれてありがとうね、あなたが温かい場所にいることは、私にとっても幸せだったんだよ。

 

・本年も大変お世話になりました。良いお年をお迎えください。きっとだよ。

たるんだ糸電話

また今度、またいつか、そのうちに。果たされなかった、果たす気も大してなかったのだろう約束が足元に落ちているのに気付くたび、ひとつずつ拾い上げて、眺めて、破いて捨てる。そのたび、破く私の手にも傷が付く。いまいましいな。まとめて燃やしてしまおうか。それができるならはじめからそうしているけど。

この桃の果肉入りのお酒、ひとりでいつ飲もう。願掛けみたいに棚にしまいっぱなしだった缶詰の栗鹿の子、たしかそろそろ食べなくちゃ。今度会ったらあげようと無邪気に思ってたお土産、仕舞い込んだままだけど捨てなくちゃ。

全部後回しにしてたから、まとめて襲いかかってくるようで、立ちすくむ。やっぱり無理矢理元気溌剌ぶってる時に勢いでどうにかしとくんだった。

手足が冷えたので、逃げるように湯船に浸かる。長湯して具合が悪くなる。一回休み。また、一回休み。ルーレットを回すときはまだ来ない。

 

たぶん、寒いのと疲労が悪い。そういうことにしてくれないか。私がここから動けないのを、手を引いてもう次へ行こうと連れ出そうとしないで。手を引こうとしてくれるあなたのせいではないけれど、本当はその手を取ってしまうのがシンプルだと知っているけれど、だからどんなに私を大切に思ってのことかもわかるけれど、だから、より一層苦しい時もある。私は、どの花でもよかったんじゃない。別の星にいけばありふれた花でも、あの子がガラスの覆いをかけたのはあのバラだけ。もうきっと朽ちた、いいことばかりではなかったあの赤い花。

 

先週会社の人たちと飲んだあとベロベロになった後輩の女の子を家まで送り届けてしっかりと終電を逃し、当初そのつもりだった通りタクシーで帰ればいいのに、表通りまで歩いて出てみたらそのままなんか興が乗って知らない道を14キロ歩いて帰った。モバイルバッテリーも持っていなかったので、残り42%の充電で帰るまでGoogleマップが持たなかったらゲームオーバーだったのに。なんとか間に合ったけど。楽しいが、同じくらい怖かった。こんなとき、実際それをとってくれるかはおいといて、真夜中の知らん住宅街怖いからとりあえず電話しちゃえ、で連絡して声を聞こうと思える相手は、まだ欲しいかもしれない。(私に甘すぎる友人らはきっと応えてくれるだろうけど)それは友達にはできない、絶対に過剰に心配させるので。そもそも短距離だとしても深夜に女の一人歩きをするな。無事に帰れてよかったよ。左足の親指の爪が剥がれかけたくらいは、無傷も無傷だろう。無事に帰れるか怖かったということは、何もかもどうなってもいいとは思っていないということだ。それはまあ、わかれてよかった。

あと、割と都心の方から歩いてきたはずなのに道中コンビニがぜんぜんなくて心細かった。やっと見つけたお水買お〜と近づいたら閉まってたりした。ゾンビ映画だったらここで頭かち割られてる。現実でもそうかも。くらーい住宅街のほそーい道を流れるほそーい川の水音を聴きながら大ビビりしてるとこで向かいから人が来た時は終わりだと思った。ふつうに近隣住民ぽかった。実際不審者なのはこっちだし、ほんとに二度とやらない方がいい。次はたぶんアッサリ酷い目に遭う。ていうか、方向音痴だし。方向音痴だからどこにでもいける。どこにつながっているかなんて知らないから。

夜が明けたら

・この土日、5時間ずつくらいしか縦になっていない。平日がなんか毎日微妙なはずれくじの重なりで意味わからんくらい慌ただしく、睡眠時間の確保を優先した結果、毎日夕飯を抜く羽目になった(もともと自律神経と胃がアレだったので、ここに重ねて消化しきれないまま寝るとおしまいだから)。その糸が切れたんだろう。土日のうちにやろうとしていたことは、必須タスクしかこなせなかった。熱くらい出すかなと思ってはいたから上出来だ。微熱は出ました。

 

・あすから三日間リフレッシュ休暇をぶちこんだ強気連休を錬成してあり、あすから二日間、両親を連れて秋の盛りの京都に行ってきます。正気ではとてもできないプランニング。それもこのわたしが、この、わたしがだ。あの両親を連れて、だ。天地がひっくり返ったのか?しかしこれは8月くらいから計画していたので、つまり少なくともその期間ずっと狂っているというわけです。狂ってでもいなければとうていここまで来れなかった。挫けている暇は、あんまりなかった。友達が私が疲れないよう気遣ってあちこち連れ出してくれたおかげで、そのままだと冗談じゃなく動けなくなりそうなほどずたずたになった自尊心もただの濡れ鼠くらいにはなったが、そこからうまく乾けないまま季節もふたつ超えてしまった。夏は、あんなに長い夏だったのに。

 

・激混みだろうとか彼らの機嫌をお手玉しながら方向音痴をGoogleマップで矯正してアテンドやりきれんのかよとかまあ心配ごとは潰し切れないが、今のわたしと彼らなら、ただ大失敗だったということにはならないだろう。各日みどころ1つと食事1つは確保してあるし。実際、前日である今日も嫌すぎて泣くとかいうことはしなくて済んでいる。むしろ、驚くべきことに、楽しみだ。私たちはあそこから9年経った。数カ月のうちではまさかそんなふうに変われるわけないとしか思えないところまで、時が経てば行けることもある。これはいまの私にとって、何よりもの希望だ。そしてまたひとつ呪いを解けたらいい。どんなにささやかでも。

 

・来月仕事でちょっとデカめのハードルがふたつ設定されてしまったので、そこをどうにか超えれるように、ここでしっかり力を蓄えておかなければ。クリスマスの頃には少し安心できているかなあ。わからない。こういうとき、ちゃんと理屈を確保した上で、だからお前は大丈夫だよと当たり前に背中を叩いてくれた人は、気軽そうに聞こえるその言葉を臆病な私がまるごと信じてしまえた不思議な人は、もういない。だから今までよりもしっかり自分で自分を安心させてやらなければならない。ていうか、少女の頃はこういうのはちゃめちゃ大得意だっただろ。今できないわけがない。私は絶対大丈夫。虚勢でもいい。自分ごと騙して、厄介ばかり引き寄せるこの笑顔で全部勝ち取ればいい。

 

・こんなにじたばたしても全然前に泳いでいけないから、受け入れてこの場所で他にやれることをやってもう少し時間が過ぎるのを待とうと思う。食べたいと心から思えないケーキを無理矢理手に入れても、きっと美味しく食べきれない。そんなふうにしたいわけじゃない。

 

・車内販売が終わってしまった代わりに自販機で例のアイスやコーヒーが買えるらしい。早朝からアフォガードキメちゃおっかな。いくらなんでも甘党すぎる娘だと、両親に驚愕されながら。

白い象の背に乗せて

・大事な友人の結婚式。泣くだろうな〜と思っていたけどやっぱり泣いた。7回泣いた。初対面の新郎が一ミリも知らん新郎友人らに感謝を述べて睦まじくしてる姿ですらちょっとヤバかった。箸が転んでも泣ける。帰ってから広げたハンカチにはリップのピンクとかすかにマスカラの跡がついているくらいだったので、式場のメイクさんはさすがだなあ!と思った。自前メイクだったらファンデとアイラインまでいってる。

大事な友人が輝くような美しいすがたであたたかい祝福の輪の中におり、何より、新郎が新婦である友人を見る目よ!会ったことないし正直顔も名前も覚えていなかったけど(私は本当に人の顔と名前が覚えられない。許してほしい)、新婦のヴェールを上げるときの彼の目を見て、あああの子をまかせられます、今日の日をありがとう、と思った。何様?私の友人のパートナーは、彼ら彼女らを心から愛していてくれなくてはならないよ。泣かせたらアタイがボイスレコーダー棍棒持って乗り込むからな。

新婦と、同じテーブルだった同じ高校の同級生(そのうちひとりは私の数少ない親友だ)以外は全く面識のないアウェーなセレモニーだったが、しっかり外面作ってこ!と新郎や新婦ご家族にご挨拶したところ、彼らはもう私の名を知っていた。苗字だけ(仲のいい友人にほど苗字だけで呼ばれる)。名前だけ知ってる感じじゃなかった。「あの」「あなたが」が付いてた。な……何をどこまで知ってらっしゃる………?でも、新婦が彼女の家族に私の話を、代名詞でなく名前を呼びながらしてくれているのがとても嬉しかった。妹さんは「えっ私のことをご存知で……?」と訊いたら「やだ〜知ってるに決まってるじゃないですか〜!」と新婦によく似た笑顔でウケていた。可愛かった。可愛かったのでピン写撮らせてもらった(ちゃんと新婦に提供しました)。いや決まってはいないはずなんだよ、会った事のない姉の友達の名前を知っていることは。新郎なんか、写真巡廻2回目にはもうわたしの苗字呼び捨てだったもんな。いい度胸だ。その屈託さで、わたしの大事な友人をよろしく頼む(2回目)。でも一回桃鉄で倒す。お幸せに!

 

・愛しあうふたりの見つめ合うところをガン見していい機会ってなかなかないじゃありませんか。ド正面で見たおかげで、「なんかもう………わたしは……………いいです…………」から「……いいな〜〜〜ッ!!!」になった。ストゼロから赤ワイン。他人のラブを肴にするな。でも本当にお酒が進みましてよ。体調自体は割と悪かったのをアドレナリンで緊急稼働させてたので三杯くらいにとどめましたが。

 

・いまのこの、陽の気にサンサンとあてられたとこならいける!と思って、一緒に参列した友人と帰り道休憩に寄ったカフェで、マッチングアプリ一覧表とそのレビュー欄だけ一緒に見てもらった。男性有料なのが多いとは知ってたけど結構お値段するんだな………つまり数が………。とか、会話アドバイス機能って何……?とか、いいね数上限って何……?とか、勢いづいたくせにすぐ怖くなって、そそくさとブラウザを閉じてさっきまでの披露宴の写真を見て深呼吸した。完全に情緒の交互浴だった。心臓に悪いとこも同じ。

まだ、まだいい。でもこの手に持ってるスマホで本当にそういうツールが使えてしまうのだということはわかった。年明けたら……たぶん……やるかな………。誰と、が過らずに、恋そのものがしたい!ともうちょっと強く思えるようになっていたら。いいなあと思えたんだからそう遠くないと思う。それがいいことなのかそうでないのかはわからないけれど。大丈夫、そのときもきっとこうして、一緒に一喜一憂してくれる友達が私にはいる。

 

・体調は終わり続けています!終わりきらなくてえらい!「閉店セール」ののぼりずっと立ててるお店の気持ち。うそです適当こきました。昨日、クリーニング店の受付で自分の部屋の郵便番号が急に思い出せなくなってかなり動揺した(引っ越してきたばっかりかな?みたいな感じですぐ調べてくれたのでそういうことにした。三年半住んでいるのにね…)。脳がやばい。恋がどうとか体型がどうとかよりまず脳だった。仕事で大ポカかまさないように、なるべく睡眠を最優先します。身体の左側がずっと痛くて右耳の奥がずっと痙攣している。ひとりなのにうるさくてイヤ。

 

・象のことを忘れるぞ!と思えば思うほど象のことばかりだ。別に象は関係がなくて言葉のあやです。まあ確かに、瞳は象に似ていたかも知れない。虎や熊やペンギンやシャチよりは。郵便番号よりも、こっちがかすれてくれたらいいのにね。