いもいもなにいも

おいものなんでもない日

土足厳禁

忙しくなかった時期なんて人生に数ヶ月もあったことないが忙しい。体調管理の綱渡りは何度か失敗している。

二週間くらい前久しぶりに、電車で静かにダメになるやつをやってしまった。なんとか自力で降りて助けを求められたからよかった。「お客様体調不良のため遅延」に巻き込まれても(お気の毒に……)が先に来るのは、自分がそうなる可能性がたぶん人より高いからだ。

昔、似たような感じでバランスを崩して、理由のない恐怖で電車からどうしても降りられなくなってしまい、途方に暮れていたら、「そのまま眼鏡選ぶの手伝いにきてよ」と理由をくれた人がいた。その人が待っているなら大丈夫な気がして、そこまで行くことができた。一体どうしたのかきかれて、うーんと苦笑いすることしかできない私にそれ以上何も訊かず、そのままその人の眼鏡を選びに連れて行ってくれた。いつのまにか、息がしやすくなっていた。

そんなことばかり思い出す。相手はきっと、ひとつも覚えてはいない。

 

年始の地震の際は、祖母の家にいた。苛烈なツンデレである父方の祖母は、ひさびさに顔を出す私にあれこれ物を出しては与え、そっけない口ぶりながらまともに暮らしているのか尋ね、一緒に行った父と一緒に、もはや私がこのあと誰かと共に暮らすことなど全く頭にないような様子で「どっかに家を買うのはどうだ」「いっそ海外は」などと、私がその話を別に深刻に受け止めたりしないのを知っていて好き勝手に話す。「2人とも、私が誰かと結婚する想定ゼロで話しておられませんか?」「え?予定あるの」「ございません」「まあアンタと連れ添うならそうね、顔は悪くなくて、背も低くなくて、お金はある方がいいわね、それともちろん頭がよくて、自分のことができて、ちょっとくらい冗談が言えて、嘘がなくて、うるさいこと言わない男じゃなくちゃダメね」「私って竹の節から生まれたりしたんか?」「あと体が強い男」「それはそうだ」祖父は彼女を残して23年前に亡くなっている。なーんだこの祖母、私がかわいいな?父は横で笑っている。アンタはもうちょい気まずそうにしろ。

気楽だった。彼女が私に持たせるためのあたらしいおかずをこさえてくれているときに、揺れが来た。最初に気づいたのは私だけだった。私は地震がとても苦手だ。すぐにテレビをつけて、あとから話題になっていた、鬼気迫る声を聞いた。祖母は金切り声だと嫌がっていたが、意図を説明すると納得していた。これ以上都内には何もなさそうだとわかり、いろいろな報道に混乱しながら帰宅した。怖かった。

まだ、怖いところにいる人もたくさんいる。でも、それを少しでも多く、少しでも早くどうにかしようとしている人がたくさんいるのを、私は知っている。それは少し私を安心させてくれる。その人がどうか無事でいてほしいと、そして私にはできないことを頑張ってほしいと祈っている。私は私にできることをやり、余計なことはせず、あとは自分のいるところでちゃんと生きる。

 

きのうは中華街で友人と遊んできた!この一週間特にひどい目にあっていたから、やっと癒しの時間を得た。母方の祖母、叔父、その他良かれと思った他人にとにかく続けて「いい人を探さないのか」突き上げられて(ただでさえこのクソ忙しいのに!)気が狂ったので、ロケーションをいいことに人生初のガチ占いを受けた。もちろんエンタメだ。私は私以外の人間が私の人生についてわかったようなことを言って親切完了みたいな顔しているのが反吐が出るほど嫌いなので(この物言いには悪意と恨みを含みます)、ここで言われたことは全部私が私の都合のいいように利用させてもらうためのものだ。

占いそのものは横で聞いてる友達とめちゃくちゃ当たってる〜!とはしゃげるところもあれば、イヤ…めっちゃ勝手なこと言いはるやん…とスンとするところもあった。ある意味、期待通りだった。ハマるほどでもなく、払った金額ぶんは気持ちよくなれた。そこでもらった、なんか占いの解説みたいなのを書かれた紙の、よりによって氏名欄に「男の見る目がない人」と書かれて赤線まで引かれたのが面白すぎて友人とずっと笑っていた。やかましすぎる。これだよこれ!まあでもこれでチッうるせ〜なと思った時投げる煙幕くらいにはなるな。都合が良い。

それをそのままおもしろエピの記録としてツイート(心はずっとTwitterにいるインターネット懐古厨)しておいたのだが、今日寝込んで起きたら野生の占いおじさんに引用で好き勝手「再鑑定」されていた。しかも6ツイートも。「(なんかよくわからん用語。紙に書かれた星の配置?)から生年月日も割れたのでウンタラ」とまで書かれている。

きもちわるい!!!!!!!!!!!!!!!

ドン引きして爆笑しながらスクショを撮って元ツイートを削除して、隠れることも今はないからいっか〜と軽い気持ちで外していた、アカウントの鍵をかけなおした。あ〜気持ち悪かった。ゴキブリ出た時くらいイヤだった。

ひさびさにヤバいのにヤバい絡まれ方して懐かしさすら感じた。文字主体でまあまあ猫脱いでるここですら……!!?と絶望もした。歩いてないのに棒が当たりにくる。解説おじさんてどこにでもいるけど、わざわざちまちま検索して突撃してきてる……ってコト!?人生ゆたかそうですね。(悪意)

一番腹立ったのが「大変残酷なことを申し上げますが、生涯においてあなたが自ら動いてチャンスを掴むことはございません。」の一文。見て!!!この!!!文法的ポライトネスが一切意味をなしていない失礼のかたまり!!!!!!言語学的に非常にわかりやすい例をありがとう、あした体中の全ての筋を攣って無様に悶えてください。

私がこの手に今持っている全ては、他人からもたらされたきっかけの有無にかかわらず、全て私が自分で選んで追いかけて掴んで守っているものだ。そしてあなたがすすめるように、全て受け身でだけ生きていたとしたら、私はどの夢も叶えることなく、あなたのような宇宙人にこれまで何度も刺されたり襲われたり突き落とされたりしていただろう。つーか頼んでもいない赤の他人に「大変残酷なこと」を申し上げてひとりで気持ちよくなってんじゃねえよ♡あなたのお得意の占いは、あなたに必要な忠告は示さなかったようですね。インターネットをおやめなさい。

 

こういうことが現実でもまあまあある。こういうシンプルに迷惑なやつならまだ逃げたり駆除すればいいのでまだマシで、ただ一度笑いかけただけ、ただ普通に会話していただけ、ただ友達だっただけで、たやすく狂ってしまう人たちに、これまで何百回ヤバい距離の詰め方をされてきたことか。

これで初期フィールドを「恋愛前提」にしたら何が起こると思う?それでもあなたは私にそれを始めてほしいですか?次に見るのが私の遺影でも?

まあそれは極端だけど、その手前にいくらでも地獄というものはございますからね。人間は簡単に狂うから。(だから私は私に狂わないくらい私に興味のない人が好き!そして今度はこっちが報われない恋が発生する)(ままならないね〜)

私に善意で「出会い」をあてがおうとする人たちは、優しい世界に生きている。そのままでいいから、ほっておいてね。ていうか私が「とにかく出会いた〜い!」つったか?そうであったならまず心配をしてくれ。そんなはずねえから。何を見てきたんだ。なんも見てないのか。

 

親は私の上述のような、体質としかいいようのない引力がもたらしてきた数々のおそろしいあれこれをそれなりに知っているので、もはや何も言わない。「また変なのに付き纏われてるよりよっぽど安心」「したいならしたらいいけど、周りが言ってもしないでしょ」「結婚なんかして終わりじゃないんだしこっちは先に死ぬんだから」とのこと。私たちはこの10年でずいぶんとお互いのことがわかってきたらしい。

それでもなおこの私が心の底からそばにいたいと思った相手にはついぞ選ばれなかったが、そしてその悲しみはまだ薄れないが、その感情が自分にあると、あったと知っていることは私の空に灯る光になる。

今はとにかくそれでいい。

 

もう一個巨大なイヤなことがあって熱出して(熱出したからお流れにできた!やったね!)ぶっ倒れてたとこにもらい事故にあっても〜〜!!!!!!ってなったので書いて発散しました。パブロン飲んで寝よ〜。明日からも修羅場だ。私は私の修羅場を私が研いだ剣で切り拓く。弱音はいっぱい吐きながら。