いもいもなにいも

おいものなんでもない日

蝶結びはあなたが

・あっという間に、通勤中見える桜の木に緑が満ちた。夜中に散歩に行った東京タワーの足元には、まだ4月も半ばだというのに、藤も菖蒲もツツジも八重桜も山吹も、大雑把に咲いていた。春の総まとめには早いのではないかと思ったが、花々は春を惜しまない。(かと思えば、まだまだ椿が咲いていることもある) 咲く時がくれば、それだけのことで花は咲く。

 

・どんな職場でも2年以上身をおくと粗が目につくものである。ということが、骨身に染みる4月。前職のように「いつか一番効くタイミングで辞めてやる」と暗い意地を燃やすようなことは幸いにしてないが、「こっちの仕事をさせろ!!」とひさしぶりの悲鳴が(在宅のときだけ)口をついて出る程度にはしっちゃかめっちゃか。ほんのわずかながら自分の力で仕事がこなせるようになってきてわかったことだが、優しさと穏やかさに全振りして人を雇っているらしい弊社、おかげで社内の居心地は素晴らしく制度も充実しているのだが、とにかくトラブル処理能力が低い(その業務における最優先条件が"顧客の満足"であり結局それが未来の自分らの仕事を楽にするということを理解していない、時が経てば嵐は過ぎ去ると思っている)。いやだ私はもう解決屋さんになりたくない………。が、整地って小石につまづきやすい誰かこそがやらなきゃいけないんだよな。舐められやすい奴の方が、警戒されずにいろんな人の小ズルを見ることができてその発生を是正したりできるし。嗚呼。

 

・会いたい人、話したい人、さまざまな報告をしたい人として選んでもらえることが続き、うれしい。私は何者でもないけれど、きっと今がこれまでの人生で一番何者でもない存在である自分をかなり気に入ってはいるけれど、自分の選んできた愛すべき人たちに選ばれるというのはとても誇らしい。「このまま一生独りかもしれない」というのはかなり実感のこもった不安で、具合が悪かったりするとこれが肥大化して「誰も、私でなくてもよいのだ」という凶悪な諦観に変貌したりするのだが(思春期みたいな渇きがアラサーになっても消えないという焦りもこれを加速する)、時折こういうありがたいことがあるおかげで、信頼を反故にするわけにゃいかねえわなとしぶとく生き続けることができている。これを読んでくれているあなたの世界のどこかにも、私の居場所があってくれたら嬉しいです。たまに取り出すお土産のマスコットくらいでもいいから。

 

・切ったはずの糸が目の前をちらついて、手を伸ばすかどうするか。みたいな状況が続いている。手を伸ばしたところで糸がまたあっけなく消えないという保証もないので、様子をみるという選択が非常に大事な局面だとは重々わかっているのだが、じっとしているのが本当に本当に性に合わない。でもたぶん、その"性に合わないこと"をしてみないと行けない裏ステージがあるんだろうなと思う。そもそも、自分から千切った糸の端を見つけても、今までの私なら見ないふりをしていた。私が私の意思で「選ばなかった」「手放した」ものは、私の世界からその時点をもって消滅する。少なくとも今までは何だってそうだった。だから、今がイレギュラーであることは間違いない。

なんにせよ、やるかやらないかという二択で結局「やる」を選ばなかったことがなく、そこに懊悩は介在の余地がない。私はたぶん、シェイクスピアとは気が合わない。