いもいもなにいも

おいものなんでもない日

見える糸

 

aikoの全シングル+セレクトカップリング集が6月に出る。いつもより遠くのコミュニティにまでこのニュースが届いている気がするのはおそらくその価格設定のせいだろう。通常盤は4枚組で3500円だぞ???なんだその価格??

最新シングル「ストロー」が38thなので、カップリングがなくてもおよそ40曲(両A面シングルがある)、アルバム約3枚分の曲数である。

「もうまとめ1&2があるじゃん」という声もあるだろうが、あれが出たのは2011年2月23日。「恋のスーパーボール/ホーム」が同年5月のリリースなので、そこからは当然ベスト盤未収録だし、何より「まとめ」は"ベスト盤"であってシングルコレクションではないので網羅はされていないのである。

このボリュームでこの値段を設定したことを、aiko本人も「今までは?という話ではない、今回のこれは本当に必死で頑張った」と言っている。先日「愛した日」を自身初のDL先行配信で発表した彼女が、「それでももう一度CDを手にとって欲しい」と願いを込めて努力をした結果だ。

……大丈夫??ここまで付いてこれてる??突然ガチオタ講義始まって引いてる??

 

aikoが作詞作曲一部歌唱をつとめたRadio Darlings(FM802タイアップ)「メロンソーダ」本日より全国のTSUTAYAでレンタル限定展開中ですよろしく!!この曲についても感情が3回くらい爆発してるんですがまた後日。

 

閑話休題がてらCMはさんでみようかと思ったけど実質本編だったな。私は何を言っているんだ?

 

続けます。

 

ここからは私の個人的な経験と推測によるものになるんですが、aikoは「それをやって自分もファンも嬉しいなら何でもやろう!」と思っている…と思う。とにかくファンが愛されている。そんな彼女が、電子先行配信には手を出してこなかった。それほどまでにCDという媒体への誇りがある。

この時代、どの界隈でも新譜リリースとDL配信はセットがほぼ当たり前になりつつある。音楽を聴くツールが据え置きのデッキから携帯型音楽プレイヤーになり、今やスマホがメインの人もいる。私も全部使っているし、DL配信は便利だ。定額制でその時聴きたい音楽を聴き放題のサービスまである。これも非常に便利だ。電子配信の世界は今やデメリットを感じさせないレベルにまできている。

でもね、(これは書籍にも言えることなんですが)これ、まず"人に貸せない"んですよ。中古に回されないとか買う人が増えるからいいとかそれはわかるめっちゃわかる、わかるんだけど、

とにかく布教がしづらい。

この辺で繰り返しますがこれ私の主観ですからね。データだけやりとりするとか手段があるのは知ってますし経験もありますがここからは完全に肌感覚の話です。

 

で、とりあえず楽曲ラインナップの話からいくと、

aikoなんとなくしか知らない」という層に、あるいは私がゴリ押しして一緒にライブに行くことになったが「どれを聴いておけばいいかわからない」という相手に、あるいは「どの曲がオススメ?」と無邪気に問うてくれる友人に、

「とりあえずこれを聴いてください」と渡せる板が今までは「まとめ」だったんですよ。なにせ曲数が多いから……。

でもあれ、めちゃくちゃわかってるラインナップなんだけど、"めちゃくちゃわかってる"が故にスルメ曲ばっっかりなんですよ。

スルメ曲とは、つまり、一度聴きだとサラッと流れていってしまうタイプの曲である。

要は「キャッチーさ」。

私のようなガチオタがついつい勧めてしまう曲は私のようなガチオタが長年のaiko歴を踏まえて味わっている、舌が慣れてる人向けの曲なんですよ。あと無難に歴代のオリコン上位曲。必然的にシングルが多くはなるものの、シングル曲をまとめて聴いてもらう手段がないので、「もっとも勧めたいシングル曲の入っているアルバム」に限られてくるというわけです。

さらに私の一押し曲はカップリングのみに収録されていることが多く、現状で初出シングル以外にカップリング曲に触れられる板はそれこそ「まとめ」収録の一部曲のみ。

私と父は手製でaikoカップリング集を作成したりしていますが、それくらい出会う機会が限られている。

…………難しいんだこれが!!!!!!!

それがこの「aikoの詩。」でかなり解決される(はず)って感動通り越して畏怖ですよ。

いやカップリングの曲数とかわからんけど4枚組って相当だぞ。3枚シングル曲集として1枚分は多分あるぞ。曲順どうなるかは本当に読めませんが………。

 

そしてCDという形態の話。

結局聴く媒体は同じウォークマンかもしれないが、それがハコとして手に入るということは、もしデータの入ったPCが突然家の窓を割って入ってきた泥棒に盗まれても"大丈夫"ということなんですよ。例えが極端過ぎるがこれは実体験に基づいています。あれで私は容量の問題でウォークマンに入れていなかったDL楽曲(レンタルしてきたのも含む)数百曲を失いました。

CDを所有するということそのものが、無事に所有している限り曲との再会を担保してくれる。

 

CDというものへの思い入れは単なる回顧に近いのかも知れないけど、形がなくてもいいとされているものに、あえて形があるということの意味をaikoが再認識してほしがっているということ。いや彼女が訴えたいのはここまで私が述べてきたところとはまた違う音楽業界とかそのへんのアレなんだろうとは思うけど、私はとっても嬉しい。彼女がCDを諦めないでいてくれることが。

 

DL配信の方が手軽で安い、だからそっちを選ぶ………は私もめちゃくちゃやるけど、

ブックレットのインクの匂い、歌詞カードの文字色、トレイの色、プレイヤーにセットした瞬間の少しの高揚感。

これを忘れてしまいたくはない、と思う。

ていうか私は歌詞カードというものがめちゃくちゃ好き。歌詞で惚れ込むタイプなのと、この曲にこの色の文字かー!みたいなのすごい高まるじゃないですか…。

 

収集つかなくなってきましたが、「安さだけで話題になってる」「言っても既存曲の寄せ集めでしょ?」「もともとのファンに旨味がない」みたいな意見を見てしまって

「ハァ〜〜〜〜???オールスター大集合に超級バイスタンダー投入の上初見古参関係なくしかもリーズナブルに楽しめる最高ステージでスタンディングオベーションですけど〜〜〜???」

となったのでついいつもの3倍近い文字数をかけてしまいました。

まだ書けますけどそれは聴いてからにしたい。

 

毎回彼女のアーティストとしての飽くなき挑戦には驚かされるし、その手があったか〜!!と思わされる。

六月が楽しみで仕方ない。また寿命が伸びた。