いもいもなにいも

おいものなんでもない日

味気ない湯気

 

絶対に今買わなくてもいいのはわかっているんだけど、かわいい食器が欲しい。シンプルなのも好きだけど、チロリアンテープみたいな細かい柄がぐるっと入っているやつが、今は欲しい。

一人暮らしも5年半を超え、何度も引越したが自炊の機会は減る一方で、実家から持ってきた最小限のお皿とマグカップ、あとは最初に住んだ町の百均で買ったノーマルな白いお皿くらいしかない。この5年半で、グラスも、お皿も、ボウルも、ふたつずつ割れた。いつも流し台でぼーっと洗い物をしているときに手が滑って割れるので、人が投げて床にぶつかったでかい皿とかよりは、片付けはずっと楽だった。

だから(?)、まあ、食器というものは私にとっておおむね「必ず割れるもの」「揃っていないもの」だった。なので、適当なものを買ってそのままにしている。

マグカップは、紅茶やホットミルクを飲むのが好きなのでわりとちゃんと選んでいたが、それだけだ。

 

この非常事態を迎え、幸運にも在宅勤務となり、紅茶の消費量も、自炊の機会も増えた。家でできる趣味が人よりもかなり多い方だと自認しているが、それでもなんとなく食事で気分を上げて、毎日のメリハリを付けたい。

必然的に食器のローテーションも激しい。どうせ毎回洗うけど、いい加減"飽きた"。

この状況だと、不安を覆い隠したあとは迫りくる退屈と戦わねばならない。そうしてやっと、平気な顔して笑えるのだ。

外に出ず、かわいい食器が手に入るサイトがないか。今度ゆっくり探してみよう。

 

まだ、仕事があるおかげで基本の生活リズムは崩れずに済んでいる。こういうとき、謎に「どこまで食事を最小限にできるか試す」とか、「時間をはやく進ませたくて寝る」とか、どんどん活動をミニマムにしていってしまう傾向があるが、これはものすごくよくない。これでも大丈夫な人は大丈夫なんだけど、私には(ある程度できてしまうけど)向いてない。精神のバランスが最低だった頃、はじめにこういう状態に陥って、そしてどんどん何もかもが過剰な、無意味なものごとに思えて、そしてある日突然、さしてきっかけもなしに「力を入れても起き上がれない」と気付くのだ。元の状態に戻ろうとしても、もう遅い。

娯楽や食事(食事も娯楽性が高い方がいい)をあまり疎かにすると、なにげなくつまづいたら粉砕骨折した、みたいな気軽さでどこかが壊れる。

いま、この状況に慣れたと思っているあなた。自分はもともと打たれ強いから大丈夫と思っているあなた。コップの水の最後の一滴までじりじりと注ぎ続ける必要はどこにもありません。溢れ出したらそのコップなぜかヒビ入って一生直らないからね。最大PP毎ターン減少のデバフが生涯ついて回るようなものですよ。

だから、無理しないでね。

ひとりで家にこもっていても、美味しくて彩りのあるご飯を食べることは全くもったいなくないし、暇つぶしに眠りそうになったら騙されたと思って一回湯船に浸かろう。

 

誰に、というか、自分に対してのアレになってしまったかもな。まあいいや。

あなたを大切に思う誰も、実際のあなたの行動以上にあなたを救うことはできないので、ちょっとヤバいなと思ったらかなりヤバいからとにかく必ずハッピーになれること一個してください。死ななくてえらい!