いもいもなにいも

おいものなんでもない日

雲の向こうの光の輪郭

 

クソ長いぞ!!アウトプットの弁が壊れているので。

 

・29歳になりました!!正直まだ自覚がない、というか、もう32歳くらいだった気持ちすらある。20代最後だね〜!!まだ若いよ〜!!みたいなのもううんざり。文字通りだけならいいが、半数以上の確率で、家族を得るつもりは、ひいては子を産むつもりがあるのか、あるのならお前のその態度では"間に合わない"と言いたげな探りが入ってくる。うるせえ全員燃やす。末代まで。ああ、これでお揃いですね?

怨が出ちゃったけど歳を経るのは悪くない。出来ることは、楽しめることはまだ、増えていく。

 

・大学1年の夏、19歳になったときは自分もまわりも浮き足だって、10代最後か〜とか、もう青春とか言ってらんね〜とか、青いことを散々言ってのけたものだが、そこから10年経つと思うと本当に青すぎてゾッとする。だのに10年前も似たようなことでメソメソしていた。誕生日ケーキとしてイヤイヤ渡されたローソンのミルクレープをどこかの公園で食べた。どこの公園か、何があってそうなったのか、そこから数ヶ月でどうしてああなったのかは、はたちのころの脳みそブカブカ期間にうまいこと溶け出して忘れてしまった。でもあれからミルクレープを見る度に悲しかった。味は好きだから食べるし、相手は最初からそんなこと覚えていないから何も言わなかったけれど。同じ木からのびていても、育ちの悪い枝葉というのはあるものだ。切るのもそんなに簡単なことじゃない。腐って苔むして、ほかのいきものの餌場になるならいいのに。

 

・崖から突き落とされて転生、とはいかず、ゲル状になっているような心身をガン無視して予想どおりにはちゃめちゃな仕事をとにかく週末までやりきって、誕生日前日に友だちと会ったときに出た声に力がなさすぎて自分でもびっくりした。何が起きたのか理解しているし、何をどうするわけでもないのに、何が起きてどうしたらいいかわからない、というような言葉をパンケーキを頬張りつつこぼした。友だちも、パンケーキを頬張りながら、わからないね…と心底わからない顔をしてくれた。そして私好みに選び抜かれた紅茶の茶葉と、じゃがりこが飛び出すガチャ景品をくれた。飛び出すとは知らずに、二人でどうやって使うんだ?と説明書に従って操作して、勢いよく飛び出したじゃがりこ(を模したプラ棒)を目の当たりにして二人で笑った。笑えたのだ。

 

・誕生日とその翌日は、また別の友だちと旅行した。はじめ、というか6月頭くらいから、どうせいちばんよくてこのまま放置で、わかっていても自分はべちゃべちゃに落ち込んでるだろうなと踏んでいたので、一人旅しようかなと思ってはいた。悲しき経験則。そして「こうなったからには出雲大社でも行こっかなまじでアハハでも今からじゃサンライズ出雲は取れないし車も運転できないからあんまし回れないかな〜どっかおすすめある?」と自暴自棄の私あるある早口弾丸自己完結をかましかけたところ、「運転手やろうか?」「はい?ほんと?…私は差し伸べられた手は容赦なく握るが?」「いいよ。月曜有休とれたらね」…話がはやくてうますぎる。

かくして1週間前に驚くほどトントン決まった島根弾丸一泊旅行を決行したのである。

 

・前日まで大雨だったようなので少し不安だったが、前日会っていた晴れ女の友だちが「しかたないなあ、島根晴らしといてあげる」とかっこよく宣言したのがまことのことほぎであったかのように旅行中は晴れた。神?そんな気はしてたけど。

(1週間後の今週末、まわった場所にものすごい大雨被害が出ていて胸がギュッとして落ち着かない。すごくきれいで、穏やかで、人はみんな明るく優しくていいところだった。だからというのはおかしいが、少しでも被害が広がらないように祈っています。)

やったーついたー!と出雲大社の駐車場について、案内板だー見とこーと近づいて行ったところ、足元の側溝がマジで見えておらず、まんまとハマって左足を強打&小石で脛に小指の爪くらいのちょっと深い穴が開いた。29歳の誕生日である。友だちは驚き焦り心配してくれたが、転び慣れている(悲しい)ので、打撲したっぽいけど去年捻挫した時はもっとやばかったからヘーキヘーキ!とそのままおして参拝した。(あとで様子みようとズボンの裾をまくってみたらまあまあ出血しており、友だちがそれにまたドン引きしながら絆創膏を買いにコンビニに寄ってくれた。29歳である)

出雲大社は思っていたより大きかったが、思っていたよりもささやかだった。よくメディアで見るおおきなしめ縄は脇の神楽殿のもので、本殿はすごく開けた広場みたいなところから離れて参拝するスタイルだった。この形式ちょっとわくわくする。お賽銭箱と本殿の間の距離に通る風がふしぎときらめくようで。全体的にかなり好きな場所だったのでまたお参りしたい。今度は旧暦10月に………。

隣接する博物館は期待の5倍ボリュームがあった。あそこだけで一日いられるし、もしかしたら足りないかもしれない。我々は博物館大好きブラザーズなので「2時間でまわりきるはずがなかった…」と後ろ髪をひかれながら早足で見学した。でもたたらの体験はした。初めて見たから。足から血流れてたのに。楽しかった。また行く。個人的には、当初の出雲大社のすがたとしていろんな説を元にした模型があったのが楽しかった。あれまとまってる本とかないですか?読みたい。

閉館ギリギリに博物館を出て、そのまま稲佐の浜へ。少し曇ってはいたものの、傾きつつある日の光がとてもきれいで、神話の地だ〜!!!となった。そして悲壮感たっぷりの流木に感情移入して、しばらく黄昏れた。私がこういう海岸線をずっと歩くのが好きだと知っている人、夕暮れの水面を眺めるのが好きだと知っている人、何度も一緒にそうした人は、もういない。推しのぬいを撫でながらただそんなことを考えていたら、友だちがそこでプレゼントをくれた。漫画か!!?なかみはいいにおいのルームスプレーだった。しばらくまともに眠れていない私を気遣ってのものだった。友よ…………。私の友だち、全員神さまがつかわしてくれたとしか思えない徳の高さでまぶしい。時間かかるだろうけど、元気出したいなあと思えた。みんなが落ち込んだ時、私だって力になりたい。

 

・翌日は出雲をでて、月曜なのでほぼ人の歩いていない玉造温泉街を歩いて、自律神経が終わったまま汗だくで玉作湯神社にお参りして叶い石のお守りをつくり、足湯を楽しんで、松江城を(時間の問題でお城だけに絞って)見学して、中海?をぐるっとまわった(書きたいこといっぱいあるけどそろそろアウトプットの弁がきしみはじめた)。私は免許持っていませんし方向音痴かつ注意力散漫なのでろくにナビもできません。わかりますか?わたしの友だちが神だということが………。

松江城すごく面白かったです。天守閣からの景色はもちろんのこと、いちばん感情が揺れたのは、塩蔵の横にある井戸を覗き込んだ時のあまりの深さ、冷ややかさ、たぶんそんなのおかまいなしに観光客が投げ入れた小銭の鈍い反射を見たとき。ここに落ちて死ぬの嫌だけど、ここに落ちるのなんか簡単だろうなあ。と思った。そこで気を引き締めたはずなのに、城を出て数十歩もしないところで3センチくらいの段差を踏み外してズベッとこけた。今度は右膝をえぐった。書いていませんでしたが両日同じボトムスを履いていまして、色は白でした。うーんバカ。友だちは今度こそ本気でビビっていて、「自分じゃ結構平気と思ってるだろうけど……相当キてるんだよ……」と""マジ""のおことばをくれた。わたしもさすがに観念した。近くに水道がなかったので、となりの神社の手水舎で傷口を洗わせていただいた(傷がデカくて血が多かったので…)。お参りもした。

 

・そのあと私が行きたがっていたお茶屋さんに連れて行ってもらい、お昼ごはんを食べ、早めだが私のコンディション的にそれが安全そうだろうということで、でっかい水をたくさんながめながら空港へ向かうことにした。空港近くのジャズカフェが評判良かったのでお茶にしたが、めっっっっちゃくちゃよかった。いいスピーカーから大音量でいい音楽きいてただぼーっとするの、最高。東京にも同じような過ごし方ができるお店を知っているけど、そこは………。もうしばらくは足が向きそうにない。

 

・で、空港にちょっとはやくついてしまいとにかくダラダラぼーっとしていた。これはこれで悪くない。焦らないし。

 

・帰りの飛行機は夜だったので景色はあんまり見えないだろうと、持ってきた文庫本を開いた。年表まで読み終えて閉じた瞬間に、着陸のベルトサインがついた。友だちと、すごいタイミングだと面白がった。

読んだのはヘミングウェイ老人と海」。ヘミングウェイの命日は私の誕生日。教材として英語でちょっとだけ読んだことはあったしあらすじは知っていたが、刺さらなくて全部読んだことはなかった。今回は日本語で新しい訳で読んだのもあるだろうがするする読めた。今読んでよかったなあと思った。わたしは老人。大魚と何日も延々駆け引きをして、ようやく勝負を決したと思ったら、思わぬ横槍にまたもや苦労させられて、持ち帰れたのはあれっぽっち。老人のために、老人には見せず泣いてくれるマノーリン。それが老人のまことの慰めにはならぬとも。老人がまた漁に出るなら、それはマノーリンの存在がもたらす救いも大きいはずだ。

 

・そんで帰ってきて翌日、オタク垢の方で何げない幻覚ツイートが謎におバズり申し上げた。(推しのピクミン配信が嬉しかっただけなんだ……。)しかし、早めにリプライ閉じたのもあるけど、いまだにじわじわ伸びているのにヤバいリプとか引用とかが見える範囲になくてすごい。私の推し、優しく愛されてるなあ……。ていうかTwitter終わったんじゃなかったのかよ。

待ってくれ?まさかあちこちで祈願してきた「縁結び」のご利益、これだったりいたしませんか?まあ、それならそれでもいいか、私の推しが"いいよね"ってたくさんの人とわかち合えるのはものすごく得難い幸福であるとも言えるし………。

 

・と、いう感じで、先週末は友だちのおかげでしっかり心の明るい方を稼働させることができた。これは本当に大事。その後数日の仕事の終わり具合と蓄積された疲労(ずっと見て見ぬ振りをしていたので旅行とか関係ない)でだいぶ死線が濃くなったので、ここからはしばらくいのちだいじに、ある程度ジメジメもしつつ生き延びます。何はともあれ、時間は必要だ。両足の怪我はまだキズパワーパッドをぐんぐん膨らませている。これがきれいになる頃には、一人でゆっくり温泉でも行こうかな。